漢方について

身近な症状と治療の実際7 【ニキビ吹出物】

ニキビ・吹き出物

 局所的な症状とととらえられがちなニキビ・吹き出物ですが、実はこれらの症状も、気・血・水のめぐりや五臓と密接な関係があると考えています。  ニキビや吹き出物は、皮脂の分泌がさかんな肌に細菌が繁殖して起こる『炎症』の症状なので、ファーストチョイスとしては『黄連解毒湯おうれんげどくとう』や『荊芥連翹湯けいがいれんぎょうとう』『清上防風湯せいじょうぼうふうとう』など、炎症を抑える薬が用いられます。西洋医学でも、消炎剤や抗生物質を用いて治療するのが一般的です。

 ただ、これらの薬だけでは、きれいに治らなかったり、治ったようにみえても、またすぐにできてしまうケースも案外多いものです。

 そこで漢方では、このような難治性のニキビに対して、その人の体質を見極め治療をすることで治していくのです。 例えば、ニキビや吹き出物のように炎症が起こっている部分には、必ず充血も起こっています。言い換えれば、その部分で血が滞っているわけですので、血の滞り、すなわち『オ血』を改善する『桂枝茯苓丸加ヨクイ仁けいしぶくりょうがんかよくいにん』などを用いたり、体が冷えて循環の悪い人には、『当帰芍薬散とうきしゃくやくさん』や『当帰四逆加呉茱萸生姜湯とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう』などで体を暖め、血の巡りを良くして体を少し温めて、炎症を改善するのです。あるいは、ふだんから食べ過ぎで『食毒』がたまって便秘がちの人には『防風通聖散』などを用います。『桂枝茯苓丸加ヨクイ仁』や『通導散つうどうさん』『桃核承気湯』などのオ血を取り去る薬(駆オ血剤)は、月経前に皮膚症状が悪化するタイプの人にもよいでしょう。

 また、ニキビ・吹き出物も、水毒が原因となっているケースがあります。特に、大人の場合、化膿しやすい思春期のニキビと違って、いつまでも変化しない白ニキビに悩まされることがありますが、この場合は、やはり水毒による影響が大きいといえます。このようなケースでは、『当帰芍薬散とうきしゃくやくさん』や『五苓散ごれいさん』が用いられます。

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